愛と誠ちゃん

日々のハチャメチャボーイズラブなことについて。

別に無くてもいいんだけど

彼氏が研修でこちらに来ていて、束の間の幸せに浸っているわけだけど、なんせ金玉が痛い。

 

いや、正確には今は痛くないんだけど、あの痛みを思い出す度にゾッとしてしまう。

金玉にあんな暴力的な一面があるなんて知らなかった。

 

 

 

先日、東京駅で彼氏と寿司を食べる約束をしていた。

待ち合わせの30分くらい前かな。

丸の内の洒落たダイニングバーのオープンテラス席で優雅に酒を飲んでいる、

恐らく外資系勤めのビジネスマンたちを横目に、僕は金玉を抑えながら座り込んでいた。

 

ただじっと、耐え忍ぶ。15分間くらい。

何がそんなに楽しいのか知らないが、外資系の彼らは僕のことに気づきもせず、

次から次へと話に華を咲かせ、あろうことか追加でスパークリングワインを注文したりしていた。

完全に気分を害した僕はスラックスのポケット越しに、病んでしまった金玉を優しく包み込み、歩き出すことにした。

愛する彼氏と寿司が待っているのだから。

 

 

 

人気店とあって1時間近く行列に並ぶハメになったが、寿司は本当に美味しかった。

甘えびが美味しかったと言う彼氏がかなり可愛い。

 

この時、すでに金玉的な痛みは無くなっていた。

だから僕は、研修所近くのホテルに帰っていく彼氏を心からの笑顔で見送ったのだった。

 

だが、家に着くと嫌でも現実を思い出すことになる。

金玉的には、今は落ち着いているものの、いつ何時、また僕の意思とは無関係に暴走するか分からない。

 

 

 

あんな経験はもう二度としたくないので、その翌日、僕は生まれて初めて泌尿器科に行った。

駅から病院までの徒歩10分の間に、会社に午前休みをもらう連絡を済ませた。

優しい上司は「大丈夫?」と心配してくれたが、複雑な心境であった。

 

 

 

問診票には「金玉の痛み」のチェック項目はないので、その他の自由記入欄にその旨を書かなければならない。

これでもまだ恥じらいが残っているので、チンポのことをペニスと言う要領で「睾丸の痛み」と真面目に記入した。

ちなみに睾丸の漢字はスマホで調べた。

 

問診票を提出したときに「睾丸の痛みですね」とわざわざ声に出して確認してくるオバちゃんにやや不信感を抱きながらも、僕は「そうです」と、とても神妙な面持ちで答えたのだった。

 

 

 

後で気づいたのだけど、その泌尿器科は女性の職員と医師しかいなかった。

診察室に入ると、やはり女性の医師がいて、開口一番「痛むんですね」と主語の無い質問が飛んできた。

「そうです」と、ここでもやはり神妙な面持ちで答えるが、何のための演技なのか自分でも段々と分からなくなってきていた。

 

間も無く触診が始まった。

金玉に超音波を当てて血流を観察するらしい。

 

仕事に戻ったら上司に何と言おうか、なんてことを考えながらスーツのズボンに手をかけ、

若干の抵抗がありながらも、パンツを完全に下ろしたその時だった。

 

 

「うわ、すっごい先っちょ尖ってますね~」

 

 

・・・何その感想?

 

「いや、靴の先っちょ。つま先スカスカじゃない?(笑)」

 

あぁ、靴か。

靴の先っちょの話ね。

ビジネスシューズだからこれくらいは尖るよ普通は・・・っていうか、

何でこのタイミングでそんな話すんの?

 

 

 

 

もはや病院全体に不信感を抱き出した僕だったが、金玉の方はどうやら正常だったようだ。

先生の説明によれば、僕の金玉はこういう状態らしい。

 

・先日の激痛は、おそらく一時的な捻転症(金玉に接続する血管が捻れる症状)によるもの

・もし激痛が30分近く続いていれば、緊急手術が必要なほど大変な事態になっていた

・普通の人は、金玉の血管をしっかり固定する部分があるが、僕はそれがユルユルの可能性がある

・よって今後も同様の激痛が発生する可能性があるが、対策法は特にない

 

金玉の固定がユルユルなのは普通にめちゃくちゃ嫌すぎるが、

今すぐ手術が必要なほど重大な事態ではなかったようで安心した。

 

しかし、今後も同様の痛みが起こりうるというのは残念すぎるお知らせだ。

正直、かなり落ち込んだが、根は優しいのであろう先生はこう言ってくれた。

 

「何かおかしいなと思ったらまた来てくださいね。

緊急の事態であれば大学病院を紹介しますから。

それと、どうにもならないくらい痛む時は必ず救急車を呼んでください」

 

色々あったが、その言葉にはホッとした。

病院へのモヤモヤとした不信感が晴れていくような、そんな心境だった。

 

 

「それと、対策法が無いとは言いましたけど、今後生活する上で知っておいてほしいのは、

捻転症にもゴールデンタイムがあるということです

 

 

うん、だからさ、

何でこのタイミングで「ゴールデン」とか言うの??

 

 

「うっエェッン」と不自然すぎる咳をして何とか笑いは堪えたのだけど、

結局、ゴールデンタイムが具体的にいつなのかは全然聞くことができなかった。

 

 

 

薬の処方もないので、診察後の展開はあっさりとしたものだった。

初診費含め計2,500円の支払いだけを済ませて、僕は病院を出た。

 

待ち時間含めて2時間近く冷房の効いた病院にいたせいか、

ひどく外が蒸し暑く感じた。気温は32度だという。

 

ワイシャツの袖を捲って、ふっと息を吐き、建物の陰から体を出した瞬間、

ギラギラと照りつける日差しに僕は思わず目を瞑り、こうべを垂れて唸ってしまった。

同時に、それまで縮こまっていた金玉袋が伸びて垂れ下がるのを感じた。

 

あぁ、金玉的にも、この暑さはきついんだぁねえ。

 

その瞬間に、僕は、昨日からまるで他人のように思っていた金玉と和解することにした。

そして、暴力を振るわれて一方的に被害者面をしていたことを反省した。

 

こちらこそ、お前を本来の用途で使えなくてごめんな・・・。

 

 

 

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この三連休で彼氏と訪れた、とある滝。

丸々とした岩と、水面に映るそれが金玉に見える。

見事な玉裏。顔面騎乗される3秒前、みたいな。